8月最初の週末、8/3(土)と8/4(日)の2日をかけて紙漉き体験を開催しました。
参加者は約40名。小学生の子どもたちがほとんどで、夏休みの自由研究に活用しようと参加された方も多かったようです。
初日は和紙作りがメイン。和紙の原料を作るところから始めます。楮(こうぞ)という木の樹皮から、最も外側にある「クロカワ」と、そのすぐ内側にある「アマカワ」を、ヘラを使ってそぎ落とします。アマカワのさらに内側にある白い皮が、和紙の原料になるのです。なかなかうまく剥がせない子どもたちには、講師の田村正さん(以後「師匠」とお呼びします)がサポート。師匠の手にかかると、ツルリと皮が剥がれていきます。
楮の樹皮を手に、和紙について解説する田村師匠
クロカワとアマカワを剥がす様子
剥いだ皮からチリを取り除いたら、「叩解(こうかい)」という作業へ。皮をハンマーで叩いて繊維をほぐしていきます。広い空間で一斉にコンコンと叩く様子は、なぜか見ていて気持ちがいい!アンケートにも「叩くのが楽しかった」との声がありました。
チリ(決してゴミではありません)を取り除く作業
樹皮を叩いて繊維をほぐします。みんなでやると、とっても楽しい!
次はいよいよ紙漉きです。ほぐした繊維に水と「ネリ」と言われるネバネバした液体を混ぜ、四角い木枠に金網を挟んだ道具に流し込みます。流し込んだら、ある程度の水分をタオルで吸ってから「張り板」にペタリ。あとは乾燥させれば完成です。張り付けたものをみると、薄いもの、厚いもの、繊維が細かくほぐれたもの、荒々しく残るものと、様々な表情の和紙が出来上がりつつあるのが分かりました。
手の甲にあててから流し込むと、勢いが弱まって原料が均等に広がります
この後、もう1種類の紙漉きの方法「流し漉き」を体験して、体験1日目は終了。板に張った和紙が乾いて完成しているのを楽しみに2日目を待ちます。
師匠の手ほどきのもと「流し漉き」に挑戦!
完成を待つ和紙たち。
スタッフもどんな和紙ができあがるか、ワクワクドキドキ!
2日目は、完成した和紙を、うちわとブックカバーに加工する作業が中心。作業中、参加者からは、和紙の「うら」と「おもて」の違いに関する質問が飛び出しました。「おもて」は、乾燥の時に板に接していた面。実は紙を漉く際、自分で作った材料だけでは足りないので別に作った材料を足していたのですが、自分の作った材料が「おもて」にくるよう、師匠は手順をしっかりと決めていたとのこと。こうした師匠との会話から、参加者の紙漉きへの理解が深まっていきました。その他にも、師匠が手に入れた海外の紙のサンプルに触れたり、その作り方を聞いたりと、紙の魅力にどっぷりと浸る2日目となりました。
うちわの骨に糊をぬって、自分で作った和紙に貼り付けます
糊が乾いて次の工程に移るまで、うちわを乾燥。これだけでもなんだか涼しげです
2日間とも猛暑日のなかでの体験となりましたが、完成したうちわからは、特別に涼しい風が送られることでしょう。あおぎつつ、紙の奥深さと、和紙の風合いを確かめていただけたらと思います。
教育普及担当 奈良本