終わりに

　川崎市市民ミュージアムは、2017年度より川崎市の指定管理者としてアクティオ・東急コミュニティー共同事業体がその管理運営にあたってまいりましたが、2019年10月、台風による未曾有の災害を被りました。以来、様々な外部支援団体や個人の方々から多大なご支援ご協力をいただき、被災収蔵品レスキュー活動を大きく前進させることができました。これまでのレスキュー活動にご支援ご協力くださった皆様のご厚情に対しまして茲(ここ)に衷心より御礼を申し上げます。
　さて、このコーナーには被災収蔵品レスキューにご参加くださった方々からいただいた数々のコメントを掲載してまいりましたが、関係者コメント・収蔵品を追うは３月末をもちまして一旦更新を終了させていただきます。コメント執筆にご協力くださった皆様に大変感謝を申し上げます。いただきましたコメントは、当館の応急処置および修復作業、そして今後またどこかで発生するかも知れない災害に対処するための貴重な資料や助言になるものと考えております。
　被災収蔵品レスキューや応急処置についての知識も経験も持ち合わせていなかった私たちですが、ご指導ご協力をいただきました方々によって、あるいは人が人を呼び、高い水準による応急処置と修復を経験することになりました。これまでの一連の処置は、様々な分野の資料を所蔵する当館の特性から多岐にわたり、かつ大変奥深い領域であることを知りました。
　それら多様な成果は当館職員にとって貴重な経験とノウハウの蓄積となっておりますが、災害が多発する時代にあって、未曾有の災害からの復旧に留まらず、被災資料救出、応急処置、修復、そして支援ネットワークなどを継続的に発信し続けることで、今後のそれぞれの美術館・博物館運営の中での保存修復活動の充実に貢献できるのではないかと考えております。
　当館は2021年度末をもちまして指定管理者による活動が終了いたしますが、2022年度以降、川崎市による新体制の下で新たに活動が継続されることになりました。引き続き皆様のご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
2022年３月

館 長・大野正勝