関係者コメントの記録「全国歴史民俗系博物館協議会 川崎市市民ミュージアム被災収蔵品レスキュー報告文」

全国歴史民俗系博物館協議会からの派遣依頼を受けて、東北歴史博物館からは延べ6人の学芸職員が参加しました。2020年1月28日から3人が美術品ポスター類の救出、2月27日から2人が歴史資料・民俗資料の洗浄といったレスキュー活動に従事し、その後も継続的な派遣を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、県外への出張が不可能となったこともあり、予定していた派遣は全て中止となりました。
緊急事態宣言が解除されたのを受け、6月28日から1人が民俗資料の洗浄活動に従事しました。

東日本大震災の際、当館の被害は少なかったのですが、県内では石巻市文化センター等の博物館施設が津波による浸水という大きな被害を受け、全国から応援に駆けつけてくださった博物館関係者とともに、当館も資料レスキュー活動を連日実施しました。その後宮城県被災文化財等保全連絡会議の事務局となり、被災した博物館等の復興や、被災資料の修理修復に向けて取り組んだ経験がありましたので、これらの経験を生かせる機会として参加しました。

参加したのが被災後3ヶ月経過した段階であったため、時間経過による収蔵庫内に発生した各種のカビ被害の大きさには衝撃を受けました。この膨大なカビの発生を目にして、初期対応の必要性を痛感しました。災害発生後人命が最優先であることは間違いありませんが、それが落ち着きをみせたらいち早く全国に呼びかけて、いかに多くの人々による人海戦術的なレスキューを、迅速に行えるか、その人を受け入れて効率良く動かすための組織運営の重要性を痛感しました。

(掲載写真:民具を洗浄する様子)

東北歴史博物館 
副館長兼企画部長 須賀正美 
https://www.thm.pref.miyagi.jp/