はじめに

地階の収蔵庫に保管されていた川崎の歴史と市民の記憶を綴る貴重な資料およそ23万点。そのほとんどが2019年の台風19号により水損被害を受けてしまいました。すぐに被災資料のレスキュー作業を開始、2020年10月で1年が経過いたしました。この間に個人や団体にかかわらず数多くの方々からご支援ご協力を賜りました。

お蔭をもちまして全ての被災資料の救出が完了し、引き続き応急処置等を進めております。本格的な修復作業を行なえるところまで近づいてきた資料もあります。この場を借りて、これまでのレスキュー活動にかかわってくださった全ての方々に対しまして、深い感謝と敬意を表させていだきます。

文化財等のレスキュー活動にかんして専門的な知見も経験も有していなかった私たちは、このたびの一連の活動を通じてさまざまな経験とそれにかかわってくださった方々によるネットワークの大切さを学びました。それらは、これから長い年月にわたって続けられることになる被災資料の応急処置や修復作業を進めるにあたっての財産となるはずです。

今後の活動につきましても、引き続き皆さまのご理解ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2020年12月24日

川崎市市民ミュージアム館長・大野正勝