新藤兼人特集 ~開館30周年記念・所蔵作品名品集~

映像ホール / 2018年10月06日-2018年12月09日

概要

開館30周年記念として、所蔵作品の収集重点コレクションである独立プロ作品を取り上げます。1950年に「近代映画協会」を設立し、自由な表現を追求しながら精力的に映画をつくり続けた新藤兼人監督作を、所蔵フィルムを中心に計10作品上映します。

【新藤兼人(脚本家・映画監督)Kaneto Shindo】
1912年4月22日、広島県生まれ。1934年、新興キネマ京都撮影所現像部に入社、翌年東京撮影所の美術部に移籍。のちに脚本部に異動し、溝口健二に師事。戦後は松竹大船撮影所の脚本部で吉村公三郎、渋谷実、木下恵介らの脚本を担当し、高い評価を受けた。1950年に松竹を退社し、近代映画協会を創立。翌年念願の企画だった『愛妻物語』(1951)で監督デビューを果たす。以降、脚本作、監督作は多数に及び、1961年に『裸の島』がモスクワ国際映画祭でグランプリを受賞するなど、受賞歴多数。98歳のときに監督した『一枚のハガキ』(2011)を最後に、引退を表明。2012年5月29日、死去。100歳。

上映日:2018年10月6日(土)~12月9日(日)の土日【全14日間】
※ただし、10月27日(土)・28日(日)、11月3日(土・祝)・4日(日)・24日(土)・25日(日)は休映。

【チケット販売時間/当日券のみ】
10:00~15:00(※12:00~13:00は販売休止)

※定員270名(各回入れ替え制)、開場は15分前です。
※前売り券はありません。当日先着順での販売となります(満員の際は入場をお断りすることがあります)。

入場料金(1プログラムにつき)
一般600円
大学・高校生・65歳以上500円
小中学生400円
未就学児、障害者手帳等をお持ちの方及びその介護者無料

各種割引料金をご利用の方は、生徒手帳・学生証・障害者手帳など、証明できる書類等(原本)を必ずご提示ください。

原爆の子


上映日
2018年10月6日(土)11:00
2018年11月18日(日)14:00
2018年12月9日(日)14:00

1952年/モノクロ/35mm/スタンダード/99分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、滝沢修、清水将夫、宇野重吉、山内明

被爆当時広島で生き残った孝子(乙羽信子)はかつての幼稚園の教え子をたずね、数年ぶりに広島を訪れるが、復興後なおも続く被害の厳しい現実を知る。1952年、サンフランシスコ平和条約の発効後すぐに製作・公開され、近代映画協会としての自主製作作品第1作目となった。


上映日
2018年11月10日(土)14:00
2018年11月17日(土)11:00
2018年12月9日(日)11:00

1963年/モノクロ/35mm/スタンダード/101分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、杉村春子、殿山泰司、高橋幸治、頭師佳孝
戦後の広島を舞台に、二度の不幸な結婚をした民子(乙羽信子)は息子が脳腫瘍にかかっていることを知り愕然とする。治療費を捻出するため、母親が決めた相手の田島(殿山泰司)と便宜上再婚するが、田島の優しさにふれてゆく中で次第に愛を知るようになる……。

裸の十九才


上映日
2018年10月14日(日)11:00
2018年11月10日(土)11:00
2018年12月2日(日)11:00

1970年/モノクロ/35mm/シネマスコープ/120分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、原田大二郎、草野大悟、佐藤慶、渡辺文雄
連続射殺事件を起こし世間を震撼させ、社会の最下層の少年たちの孤独と破壊的な衝動のシンボルと当時書きたてられた永山則夫をモデルとした作品。集団就職で青森から上京してきた少年が犯罪に至るまでを、母親の生い立ちまでさかのぼって描く。近代映画協会の創立20周年記念として製作された。

讃歌


上映日
2018年10月13日(土)14:00
2018年10月21日(日)11:00
2018年12月1日(土)11:00

1972年/カラー/35mm/スタンダード/111分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、渡辺督子、河原崎次郎、原田大二郎、殿山泰司
谷崎潤一郎の不朽の名作「春琴抄」を原作に、盲目の美少女、春琴(渡辺督子)とかしずく佐助(河原崎次郎)の“奪略”と“献身”のすさまじい葛藤を一家の女中(乙羽信子)がその生活を回想するという形で描く。生命の根源としての“性”と人間のエゴイズムの極限に迫る。

どぶ


上映日
2018年10月7日(日)11:00
2018年10月20日(土)11:00
2018年12月8日(土)11:00

1954年/モノクロ/35mm/スタンダード/111分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、宇野重吉、殿山泰司、山村聰、菅井一郎、藤原釜足、中北千枝子、信欣三
川崎駅近く鶴見川沿いの沼沢地帯“カッパ沼”には人々が肩寄せあって暮らすバラック小屋があった。なけなしの金で博打にふけって暮らしている徳さん(殿山泰司)とピンちゃん(宇野重吉)の元に風変りな女、つる(乙羽信子)が迷い込む。高度成長期前の社会の片隅を鋭く切り取った野心的作品。


上映日
2018年10月6日(土)14:00 ★
2018年10月14日(日)14:00
2018年12月2日(日)14:00

1955年/モノクロ/35mm/スタンダード/128分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、高杉早苗、殿山泰司、浜村純、菅井一郎
戦後不況の中、生命保険の外交員となり、ノルマが達成できず会社に残った5人の男女。疲れ果てた5人は、公金輸送の定期郵便車を襲う決意をする。気の弱い平凡な市民が負のスパイラルで追いつめられる社会派ドラマ。
★上映後トークあり 【ゲスト】白鳥あかね(スクリプター・脚本家)

人間


上映日
2018年10月7日(日)14:00
2018年10月20日(土)14:00
2018年12月8日(土)14:00

1962年/モノクロ/35mm/シネマスコープ/117分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、殿山泰司、佐藤慶、山本圭、加地健太郎
真夏の太平洋を漂流する難破船のなかで、飢餓と不安に苛まれ、極限状態に追いつめられた人間の姿を描く。野上彌生子原作『海神丸』を現代におきかえ脚色し、映画化。『裸の島』(1960)の製作ノウハウから、西伊豆でのオールロケーションと合宿方式でつくられた。


上映日
2018年10月13日(土)11:00
2018年10月21日(日)14:00
2018年12月1日(土)14:00

1973年/カラー/35mm/スタンダード/94分
監督:新藤兼人/出演:乙羽信子、杏梨、松橋登、辻󠄀萬長
夏目漱石の「こころ」で、自身の心に影を落とし続けてきた過去の出来事を<先生>が<私>に告げる第3部「先生と遺書」を独立した一つの物語として構成し、時代や場所が特定できない空間を舞台に、二人の青年と一人の娘をめぐる裏切りと愛の葛藤を描く。

三文役者


Ⓒ近代映画協会

上映日
2018年11月11日(日)14:00
2018年11月17日(土)14:00

2000年/カラー/35mm/ビスタ/126分
監督:新藤兼人/出演:竹中直人、荻野目慶子、吉田日出子、乙羽信子
近代映画協会創設の同志であり、自らを“三文役者”と称した唯一無二の個性派俳優、殿山泰司の型破りな人生を映画化。生前の乙羽信子をはじめとする共演者や監督たちの証言、出演作の実際のシーンや再現シーンを交えて描く。近代映画協会の創立50周年記念作品。

一枚のハガキ


Ⓒ2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

上映日
2018年11月11日(日)11:00
2018年11月18日(日)11:00

2011年/カラー/35mm/ビスタ/114分
監督:新藤兼人/出演:豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉漣、柄本明
戦争末期に召集された兵士100名は“クジ”によって任務先が決まり、94名が戦死し6名が生きて帰ってきた。戦争で生き残った男と戦死した友人の妻との交流を自身の戦争体験を元に描いた反戦ドラマ。98歳という日本現役監督として最高齢で監督。自ら「映画人生最後の作品」と語り、遺作となった。